労働安全衛生法第66条1項では会社は労働者に対し1年に1回、医師による健康診断を行わなければならないと定めています。また、同法第66条の3ではその結果の記録保存義務が課されています。大半の会社がこの健康診断及び記録を当然行っています。(行っていない会社がありましたらすぐに実施しましょう!)しかし、健康診断の結果が出た後にも、行うべき義務があることをご存じでしょうか。健康診断を実施しただけで安心していませんか?
再検査等の勧奨
健康診断の結果、少なからず「要再検査」や「精密検査」となる労働者もいます。このような結果が出た場合は、労働者個々で医療機関に行き再検査等を受診、または、なかなか再検査等を受診せずほったらかしの労働者もいます。努力義務になりますが、このような場合、会社は受診の勧奨を行い、受診後は結果の提出をしてもらいましょう。
異常の所見があったら
今回のテーマである、健康診断の結果「異常の所見」(異常なし以外の所見のことを指します)がみられた場合、何か対応をしていますでしょうか。労働安全衛生法第66条の4及び安全衛生規則第51条の2等では、会社には、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者の健康を保持するために必要な措置について、3ヶ月以内に医師等から意見を聞くこと(意見聴取)を義務付けています。また、会社はこの意見を踏まえて就業上の措置を講じ(安全衛生法66条の5)、労働者の健康保持を図ることとされています。この医師の意見聴取漏れが労働基準監督署の調査で意外と多い指摘事項の一つです。
意見聴取とは
意見聴取とは、就業の可否や労働時間の短縮の措置についての意見を聞くことであり、結果報告書に記載されている「酒や煙草を控えること」、「軽い運動習慣をつけましょう」などのコメントや「要再検査」や「要精密検査」の指示や受診して治療する行為とは別になりますので留意が必要です。健康診断が行われた日から3ヶ月以内に労働者数50人以上の会社(事業場)は、産業医に意見を聞くことが適当とされ、産業医のいない50人未満の会社(事業場)は地域産業保健センターの医師(おおむね各労基署管轄区域に設置されている)の意見聴取を無料で受けることが出来ます。
意見聴取の記録
ここで言う医師の意見は、病名を診断するものではなく、通常勤務、就業制限、要休業で区分され、就業上の措置が示すものです。一般的に健康診断個人票に記され、医師の記名が必要です。就業上の措置が不要とされた労働者についても「通常勤務」として意見を聴取し記録を残す必要があります。また、一般健診による定期健康診断結果報告書は、常時50人以上の労働者を使用する会社(事業場)では、労働基準監督署へ届出義務があり、全ての会社(事業場)において実施日から5年間の保管義務があります。
まとめ
健康診断はもちろんのこと、今回ご案内した医師の意見聴取も労働者の健康を守る大切な義務です。同時に人材不足の世の中において、労働者に健康に活躍してもらうことは会社の経営上も大きなプラスとなります。失念や放置は安全配慮義務違反に問われる可能性もありますので十分な配慮が必要です。