ハラスメントの相談事例

 当事務所ではハラスメントに関する相談が徐々に増えています。労務相談の一環としてご相談いただいたり、パワハラ防止のために研修を依頼されたり、ハラスメント問題に関する会社の外部相談窓口になって欲しいと依頼されたり、日々様々な相談をいただいています。
 その中で良く耳にするようになったのが、「部下がパワハラ発言だと言ってきたので、パワハラになってしまいますよね?」、「主任が課長の部下女性に対する発言はセクハラだと言ってきたのでセクハラになってしまいますよね?」等のご相談です。
 このように一方の言い分のみを聞いて相談いただくことがすごく増えてきたなと思います。それだけクライアントの皆様がハラスメント問題に敏感になっているのかなとも思ったりします。

そもそもハラスメントって何でしょうか

 一般的に職場内で発生する嫌がらせのことをハラスメントと言いますが、よく知られているパワハラやセクハラ以外にもマタハラやモラハラ、ジタハラなど次々に新しいハラスメントが出てきています。今回はその中でも法律で定義されているハラスメントについてお伝えします。

パワハラ(パワーハラスメント)

 パワハラ防止法として知られている労働施策総合推進法で定義されたハラスメントで、優越的な関係に基づく嫌がらせです。

セクハラ(セクシャルハラスメント)

  古くから男女雇用機会均等法で定義されているハラスメントで、性的な嫌がらせです。

マタハラ(マタニティーハラスメント)

 育児介護休業法で定義されているハラスメントで、妊娠・出産・育児に関わる女性従業員に対する嫌がらせです。

パタハラ(パタニティーハラスメント)

 育児介護休業法で定義されているハラスメントで、育児に関わる男性従業員に対する嫌がらせです。

ケアハラ(ケアハラスメント)

 育児介護休業法で定義されているハラスメントで、介護に関わる従業員に対する嫌がらせです。

以上が法律で定義されているハラスメントになります。

パワハラ(パワーハラスメント)について

経営者が押さえるポイントとして、特に問題となるパワハラについてここで取り上げたいと思います。

法律においてパワハラとは職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
3つの要素全てを満たすものとされています。

②と③についてはこれだけだとよくわからないですよね。より具体的に説明したいと思います。

  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものとは

 社会通念(難しい言葉ですよね)に照らし、当該言動が明らかに業務上必要性のない、またはその態様が相当で無いものを指します。
この判断に当たっては、様々な要素を総合的に考慮することが適当とされています。

  • 労働者の就業環境が害されるものとは

 当該言動により、労働者が身体的または精神的な苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。
 この判断に当たっては、平均的な労働者の感じ方(社会一般の労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるような言動であるか)を基準とすることが適当とされています。

 より具体的にお伝えしますと、問題のある従業員に注意する際に「馬鹿」や「アホ」などの人格否定する言葉を使って他の従業員の面前で罵倒することや、営業担当に対してノルマが達成できなかった等の理由で、必要も無いのに見せしめとして毎日掃除を義務づけるなどはパワハラに該当してきます。

 問題のある従業員に注意する際に、別室へ呼んだ上で具体的な問題行動を指摘して普段よりも強い口調で今後改めるように伝えることや、営業担当に対してなぜノルマが達成できなかったのかより具体的に分析するために、詳細な営業日報を記載し提出するように義務づけるなどはパワハラに該当しないと思われます。

まとめ

 今まで見てきたように一方的にパワハラだと言われてもすぐにパワハラとなるわけではありません。                         個々の言動をしっかり確認し、必要に応じて関係者へヒアリングを実施し、その言動が本当にパワハラかしっかりと調査することが必要です。                                                  調査の結果パワハラだと判明した場合には、会社として毅然とした態度でパワハラ加害者へ注意喚起(場合により懲戒処分)しましょう。                                                   厚生労働省では代表的な言動を6類型に区分して整理しています。6つの類型と具体的な言動について以下のハラスメントの類型と種類に良くまとまっていますので、ご参照ください。見聞きしたその言動がパワハラか迷った際に参考にして下さい。                                                       今後も今回ご紹介した様々なハラスメントについて記事を執筆していきますので、次回以降も是非ご覧下さい。       

ハラスメントの類型と種類   厚生労働省

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